7月25日 わたしたちはまだ、その場所を知らない

大人とは、むかし、詩を書いていた、そういう人を言うのだ。小池 昌代

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309019864





苗は青空に光り、
       
子供は土地(つち)を掘る。

 
生えざる苗をもとめむとして、
 
あかるき鉢の底より、
 
われは白き指をさしぬけり。


萩原朔太郎 『月に吠える』より 「笛」



ろくでもない7月だった。


らぴを「師匠」と呼ぶ同業メーカーの後輩
肩たたきにあって退社

アパレルの就職口なくてやむなく実家の仙台に帰った
もう15年の付き合いだった

自分のお取引に「らぴさんが師匠」って公言してたらしく
オレが新規のセレクトショップに飛び込み営業しても
先方から「あなたがらぴさんなの」って言われて面食らったこともあった


一昨年のらぴ絶好調を支えてくれた大手お取引先の主力店店長
決算大赤字でいきなり「退職勧奨」受けて来月退社


先週のこと

「らぴさん近くに来たから昼飯でも」

同業アパレルからお誘いの電話

昼飯食べながら彼の話聞いたらこの場じゃ詳しく書けない
とんでもない情報

まあ大手某小売チェーン店のリストラ、組織変更やらモロモロ

まだ正式発表していないけどw


そのあと出たのが信用情報でアパレルメーカー「モードK」倒産のニュース

らぴが駆け出しのころ、お取引先のクリスマスパーティとかで
そのメーカーのオーナーとよくお会いした

オレ、若造なのにわけ隔てなくつきあってくれてお世話になった

「らぴさん、 どんなに頑張っても利益3%出ないわ〜」
お酒ご一緒しながら明るく笑ってたな

年商で1億強、マンションの一室でやってるいわゆる「マンションメーカー」

デザイナー兼営業兼経理、お一人で車に自社商品積んで売り歩いていた


立て続けに、っていうか精神的に最も打撃受けたのが同じくメーカーの
「B」倒産のニュース

ここのSオーナーっていうのはらぴより少し若い

10年前、初めての北海道出張が稚内

その晩お取引先セレクトショップのオーナーのお誘いで食事ご馳走になったときに
同席したのが大手メーカーW社の営業だったS君

上場企業だったそのメーカーを退社、独立創業

マンションメーカーだったから営業兼経理兼雑用で毎日深夜まで働いていた

自分たちと同世代の女性ターゲットにいい商品作ってた
「キャリア・ニューミセスゾーン」の代表的なメーカーになっって嬉しかった


らぴも影ながら応援してセレクトショップ何店にも「彼の会社の商品感性いいよ」って
紹介してあげたんだけど

お取引先の飲み会あるからって急に誘っても夜10時過ぎに駆けつけた
義理堅い男だった




もうあらゆることに感情が動かなくなってきた



 
ぬすつと犬めが、
 
くさつた波止場の月に吠えてゐる。
 
たましひが耳をすますと、
 
陰氣くさい聲をして、
 
黄いろい娘たちが合唱してゐる、
 
合唱してゐる。
 
波止場のくらい石垣で。

 
いつも、
 
なぜおれはこれなんだ、
 
犬よ、
 
青白いふしあはせの犬よ。



『月に吠える』より「悲しい月夜 」