1月28日 未来

いつまでも忘れられない光景がある。

10年くらい前の事だった。
部下が代金回収に苦労してるセレクトショップがあって交渉ギブアップw
代わりにらぴ課長行ってよと。

店舗の場所は茨城県の下妻。
時刻表調べたらめっちゃ遠いw
お店開店の10時に行くには家から3時間近くかかるw

乗り換え数回w
トコトコ、ローカル電車に乗り換えて行きました。

あたりの景色はらぴ担当の北海道で見慣れた
ってか、もしかしたら北海道以上の過疎地ww

周辺に大型ショッピングセンター出来て、かっては栄えてた(と思われる)
街の商店街は典型的なシャッター通り

平日なのに人通り少なくて、こりゃ街に金が回ってない
って内心その日の集金難航を覚悟してお店に入りましたがw

オーナーとは初対面、いきなり「金クレ」じゃ芸がない。
世間話方々、らぴの実家が電気屋やってて中卒の親父が夜遅くまで働いていたこと、
12月31日になると大きい黒のカバン持った近くの信用金庫の行員さんが
二人でペアになって夕方、商店街を回ってお金集めてたことなど、問わず語りにw

しばらくオーナーと話してるうちにオーナーとオレのお取引先が研修旅行と称して
あちこち一緒に回っているのがわかったり、
お嬢さんがオレの知ってるライバルメーカーの営業マンのヨメさんだったりww

妙に話が盛り上がってご集金もすんなりと。

頃合いを見計らってそろそろお店出ようとしたら、当時のオレと同じくらい?の
30そこそこと思われる男性が地元商店街の回覧板を持って
夢遊病者のようにすっとお店に入ってこられた。

回覧板をオーナーに黙って渡して、すぐに立ち去った。
オレがいるなんて全く意識もせず、帰り際に消え入るような声で一言
「これからどうなっちゃうんだろう・・・」

その姿があまりに暗くてオレ、声もかけられないww

らぴ「あの方は?」
オーナー「近くのメンズの店の息子だよ」

もうそれですべてを理解した。
オレの実家と同じ、父親が戦後起業して小売業を始めたに違いない。

品揃えの豊富なショッピングセンターが近くに出来て、
お店の顧客を根こそぎ持っていかれた。
レディスならともかく、今時メンズの路面店でネクタイ1本買う客なんていないだろう。

店のレジが何日も鳴らなかったらそりゃ将来、絶望的になる。
かといって、いまさら商売変更も難しい。それであの言葉か・・
お店に入ってこられたのはたぶん、オレと同じ長男。
違うのはオレが実家継がないでサラリーマンになったことだけ。

たぶんいつか自分の主戦の路面のレディスセレクトショップが同じ道をたどるんだろう。

カンヌのグランプリを取ったヴィスコンティの「山猫」を思い出した。
「変らずに生きてゆくためには、自分が変らねばならない」

帰り、関東鉄道に乗ってひとりオレ、祈ってた。
「カレ、未来のために早く店閉じろ。若い今ならきっと出直し聞くから」w